俺の知っている、2つ下のかわいい子。中学の頃はバレー部のマネージャーとして忙しく働いていたその子は、高校に入学後、俺や岩ちゃんといった持ち上がり組が期待したとおりバレー部のマネージャーに、は。ならなかった。「理由があるんです」と苦笑いをした彼女に、その理由とやらを彼女が入学してから約2ヶ月間、幾ら問い詰めても終ぞ彼女から確信的な情報を得られることはなかった。彼女と、部活の先輩後輩としてちゃんとした時間があったのはたったの1年間。あとの2年はたまに顔を出すOBのような存在でしかなかった、のは確かだけど。それでも、他の女の子より気にかけてきたし、街でたまたま逢うことだってなかったわけじゃない。逢うたびに今はどう?とか、散々聞いてきた。それでも、俺には彼女が俺がいない2年間を過ごしたときのすべてが分かるわけじゃあ、なかった。

「え、ちょ、どうしたのその髪!」
「切りました。ばっさり」

えへへ、似合いますか?そう首をかしげた後輩は確かにかわいい、かわいいけど。ついこないだまでは、確か、肩を越すくらいの長さがあって。中学のときからずっと長かった、彼女が大切に伸ばしていたはずの髪が、ばっさりとなくなっている。ショートヘアも似合うね、なんて声が出るより先に、俺の口からは「なんで切ったの?」なんて直球すぎる質問が口からこぼれ落ちていた。知りたいけど、知ってはいけないような気がするそれを聞いた瞬間、俺の頭の中は思考が停止していて。聞いたあと、のことなんか微塵も考えてはいなかった。彼女は少しだけ目を丸くして、照れたように頭をかいてゆっくりと口を開く。

「中学の、2年生くらいの時からの願掛けが叶ったんです。だから、切っちゃおうって」

ちいさなことなんですけどね。そうくしゃりと笑う彼女は少しだけ頬を赤らめて、今までそこにあったはずの髪の位置に手を置いた。こないだ、ようやく!そう笑った彼女に、俺は思わず言葉を失う。だって、いま、彼女は。




知らない顔で笑うそれは



(恋をしたものであると、知っているから)




20150101




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -